“形式知”“実践知”“暗黙知”について
“形式知”とは数値や文字で表現できるのに対し、“実践知”や“暗黙知”とは人間が生きるための本能や経験の集積なのです。
それがどのようなものであったのかは、江戸時代の商人をみれば分かるのです。
寺子屋で読み・書き・算盤を習い、商家の丁稚になり、後は経験を積み一人前の商人になるのです。
江戸時代の米相場では世界で初めての先物市場を創り出すことが出来たし、また、近江商人の「三方よし(売り手よし、買い手よし、世間よし)」の考え方は、現在注目されている公益資本主義の考え方を先取りしているのです。
建築では“実践知”“暗黙知”により、平安時代に免震構造、江戸時代には制振構造を生み出して地震に対処していたのです。そのことを(図2)により説明します。
昔の大工は免震構造、制振構造を考えたのではなく、健全なバランス感覚から来たものであり、動きを捉えるセンス、それをどう構造物に仕込むかは棟梁の“勘(暗黙知)”であったのです。