「ワークシートの1」を出して下さい。まず1の『経営方針』については、今年度の方針と3カ年または5カ年計画の方針について記入します。ここは長文ではなく、なるべく箇条書きで分かりやすく記入して下さい。

次に2の『部門方針』です。経営方針を受けて自部門では何をどうするのか、「夢と願望」を盛り込んだ部門方針を記入します。

3の『課せられた課題』は、経営方針と部門の「夢と願望」を達成するための課題は何かを明確にします。ここのところが最も大切です。ここを読めば皆さん方管理者の熱意が伝わってくるように、挑戦的な課題を設定すべきです。最初にお話しした通り従来の延長線上ではなく、大きな『段差』のある課題を設定して下さい。

次の4の『目標と期待効果』は、3項の課題を達成すべき目標値となります。具体的な数値で表して下さい。

5の『制約条件』は先ほど説明しました変更ができない法律なのか社規によるものかの区別もはっきりとしておいて下さい。制約条件を記入したら本当に制約条件になっているのかどうかも確認して下さい。

それでは各チームとも始めて下さい。

小松電子工業チームは、経営企画室の長田をチームリーダーとして進めることとした。

長田は最初のワークシートを開いた。第1項目目は『経営方針』である。経営方針については既に明確になっているので、議論もなくワークシートに長田が書き込んだ。

○今年度の方針……①売上20億円、営業利益2億円

         ②今年度末までに基盤部門を黒字体質にする

○3カ年計画………①3年後の営業利益10億円の達成

長田は記入した内容を読み上げた。

〈長田〉まず今年度の方針については、①項の今期の売上及び営業利益の確保はほぼ順調に推移していること。②項の基盤部門の黒字体質化は3カ年計画の実施案の一部先行ということにします。したがって今回取り上げる課題は、3年後の計画の営業利益10億円の達成としました。一同、特に異論なく同意した。