特にファッションは人への第一印象の大きなポイントです。上手なコーディネートで無駄のないオシャレをするためにはぜひお金を使いましょう。

ただ私の百貨店時代の外商のお客様に中小企業の社長の奥様が異常なほど買い物をされるときがあり、例えば婦人服のあるブランドが気に入れば試着もされず「この列の服全てください」と買いあさるように爆買いするのです。

心配で外商員が尋ねるとどうもご主人の浮気が原因のようでした。こういう衝動買いやストレス発散の買い物はいわゆる買い物依存症タイプであり、手に入れれば興味がなくなるという危険なことだと思います。

私の大阪の実家の近所で昔の大地主さんがおられます。家は昔の日本家屋で白壁の土蔵もあり、庭にはいつも植木職人さんが入られて子供の頃からすごいお屋敷だと眺めていました。

たまたま私の兄や姉がその家の方と学校が同窓でその家の話をよく聞きました。まず、みなさんすごく質素で礼儀正しく昔の武家の様な家庭だと話していました。きっと昔からの資産があり先祖代々の倹約の教えみたいなものが脈々と受け継がれているのではないかと思います。

お金持ちほどケチではなくて倹約家ではないでしょうか。

ジバンシィに直接会って感じたこと

元生徒たちとお酒を飲んだりしていると「先生のタイプの女性はどのような人ですか?」とよく聞かれます。

いつも「エレガントな人かな〜」と答えています。

そこで、じゃエレガントな方ってどの様な人ですか? とまた問いかけられますが、いつもエレガントな人はエレガントな人と言って詳細な返事は避けています。

百貨店で婦人服を担当していたとき、年に4回ほどプライベートブランドの仕事でパリへ出張していました。仕事は世界的デザイナーのユベール・ド・ジバンシィのオートクチュールコレクション(高級あつらえ服)と高級既製服の買い付けでした。

当時のジバンシィは『ローマの休日』で一躍スターになったオードリー・ヘップバーンの『ティファニーで朝食を』やサブリナパンツを生み出した『麗しのサブリナ』など多くの映画衣装を提供していました。

ジバンシィは190cm以上もある大男でしたが、いつも笑顔で優しい方でした。

どちらを採用しようか? と悩んで彼に相談すると決まって「エレガントなほう」を指さしてくれました。ヘップバーンの映画衣装もいつもエレガントでシンプル、フォルム(型)が素敵な作品ばかりでした。

ふと思うにヘップバーンがタイプというより当時のジバンシィの衣装の似合う方がタイプなのかもしれません。

ちなみにジバンシィは91歳まで長生きされて2018年の3月に逝去されました。

私の描くエレガントな方とは貴族の生まれであったジバンシィの作品の様に、優しさ、気品、深い愛がただよう、そんな方なのかもしれません。