2章 第一の関門――筆記試験への挑戦
1 筆記試験とは何か
保育士の筆記試験
筆記試験は九科目で、一回ですべての科目を受けてもいいし、三年間に分けて受けても良い。一旦、合格した科目は三年間有効である。七科目(教育原理と社会的養護を除く)は二〇問で、一〇〇点満点である。合格点は六〇点と、一見楽そうに見えるが、どっこいである。各問題は三つのパターンからなる。
*一番目のパターン: 四つの記述があり、それぞれの記述の正誤(〇か×)を判定しなければならない。四つの記述の正誤がすべて正解である必要がある。
*二番目のパターン: 一連の記述の中に、三つから五つの穴あきがあり、その穴あきに正しい語句を選択し埋めていく。すべての穴あきの答え(語句)が正解である必要がある。
*三番目のパターン: 五つの記述があり、正しい記述は二つで、どの記述が正しいかを判定する。二つとも正解である必要がある。
つまり、二〇問は、それぞれ質問が平均四質問から構成され、合計八〇問となる。八〇質問すべてが正解なら当然百点満点となる。ただし、二〇問で、一質問ずつ間違えると、最悪、八〇質問中、九質問の間違えで五五点となり、質問は八八%の正答率なのに、六〇点を割り不合格になりうるのである。
合格点の六〇点は、実は見かけは楽そうだが、現実のハードルはもっと高いのだ。特に「保育実習理論」は、私は音楽が苦手でもあり、自信がなかった。図表1の表は二〇一六年前期の筆記試験の日程である。詳細は一般社団法人全国保育士養成協議会のホームページで確認できる。
筆記試験の準備は一科目二週間のペースで勉強
二〇一五年一二月から筆記試験の準備を始め、二〇一六年四月の前期試験を目指した。九科目で五カ月しかないので、一科目二週間のペースでやらざるを得ない。こんな強行スケジュールはありえないだろう。でもやるしかない。一刻も早く保育士になって、子どもたちや保護者の方々の役に立ちたかった。
「保育原理」、「教育原理」から順番に取り組み、一日八時間、勉強した。ただストレス発散のため、週二回はテニスに行って汗を流した。一科目を学習し、その科目について過去に出題された問題をやってみて、理解が足らないところを整理していった。
ただ、理解しなければならない参考文献や参考資料が実に多いのに苦労した。日本国憲法、児童福祉法、保育所保育指針、保育所保育指針解説書、全国保育士会倫理綱領、保育所における感染症対策ガイドラインなど実に多かった。なんとか筆記試験の直前に、九科目の勉強は終えることができた。