そんなわけなのでトイレに入るときはトイレ前で待ち、終わる頃に見守ることにしていた。
ただ一番喜ばしかったことはショーの感情が落ち着いてきてパニックが少なくなってきたということである。
パニックが少なくなってきたというのはショーに対する扱いも慣れてきたということが大きいだろう。ショーとの生活も色々なことがありながらも、生活に馴染み、様々な苦労を乗越えながらも、私達家族は何とか平穏な生活を保っていた。
しかし、そんな生活は何時までも続かないことを知ったのは、ショーが高等部三年生になったときである。高等部を卒業すると、もう進路が決まっていてそれなりの施設があると思っていたがそんなに甘くなかった。
何処の家庭でもそうであるが高校三年生になると進路のことでかなり悩むことになる。ショーもご多分に漏れずそんな時期がきた。
その頃、私達夫婦とショーが高校卒業後の進路について深刻に悩んでいた。といっても妻の方がその深刻度は計り知れないものがあるのは確かなことである。
障害者の進路は健常者と違って進学か就職かというような単純なものでない。
高校を卒業後、障害者はどこに行けば良いだろうか?
軽度の障害であれば受け入れてくれる企業もある。それでもやっと就職できる位の障害が軽度の生徒であればよいが、重度の障害者を抱えている家庭は全く異なる進路を選択することになる。
やっとの思いで就職してもすぐ職場になじめず辞めてしまう人も多いと聞く。それにつけても就職ができる生徒は良い。重度の障害を抱えている家庭は深刻である。
どこにも行かず、ずっと家に居る障害者もいると聞いている。多くの家庭は働くというよりどこかに預かってくれる施設がないかと切実な思いを抱えている。そんな家庭が多いのではないかと思われる。
もちろん私の家庭でもそうであった。