その後
小学部、中等部、高等部と様々なことを経験しながらも次第にショーも成長していく。
高等部へ入学する頃には身長は私の背丈を追い越し百七十センチメートルに達していた。しかし、言葉は未だに発することはできない。そんなショーであるが心はゆっくりであるが確実に成長していた。
コミュニケーションに関しては、簡単なことであれば身振り手振りでなんとか日常生活には支障がないようになっていた。学童期の健常児にとっては身体的には竹の子のようにどんどん成長し、それに伴い友達などもでき協調性などの社会性を身につけていく。
しかし、ショーはそんなことはなくショーなりにゆっくり成長している。但し、成長に伴い健常児童の子供達との差は開いていくばかりである。同じ学年の健常児の生徒をみるたびに私達夫婦はなんともいえない気分になるのであった。
中等部に入学してから第二次成長期は確実にやってきた。身長が伸び骨格もしっかりし、ひげもうっすら生えてきて喉仏も盛り上がってきている。
この時期に困ったことの一つに性衝動がある。女性の担任や生徒に対して興味を抱くことは無かったようであるが、なんかの拍子に突然ちんちんが勃起してしまう。
するといきなりにこにこしながらパンツを下ろしてしまうことが家ではしばしば起こった。自分でも体の変化に戸惑っていたのであろうか。
そんな姿を見た思春期を迎えている娘は「ショー! 止めなさい!」と、どでかい声で怒鳴りまくるのである。
するとショーはバツの悪そうな顔をしてパンツとズボンをずり上げる。ショーは何故か娘と妻には従順であった。
ショーの成長過程で家族の負担が減ったのは身辺自立ができるようになったことが大きい。契機はやはり中等部一年生位の時であったかと思う。
それまでは一日二、三回はしていたおねしょがピタッと止まった頃からである。この頃はまだ同じ部屋で、ショーの布団のすぐ隣で寝ていた。
夜中にショーが私の布団に潜りこんできた時は必ずおねしょをする時である。自分の布団がおしっこでびしょびしょになってしまい気持ち悪いので、私の布団の中に潜り込んでくるのである。
私は慌ててショーの布団を剥がす。するとそこにはおしっこまみれのシーツが皺くちゃになり転がっている。すると今度は私の布団の中でおねしょをするのである。朝までショーのおねしょとの格闘である。
このことが毎晩、必ず二、三回は繰り返していたのでここから解放されたのと寝不足からやっと解放されたことは大きな出来事であった。
身辺自立でいうなら洋服や下着の着脱に関してもそうであった。それまでは何から何までしてあげていたが、たまに手がかかることがあっても基本的には自分でできるようになった。
また、トイレに関しては一人で入れるようになったことも大きい。大便のあとロールペーパーを一回に半分位使ってしまい、トイレが詰まることしばしば。これには辟易していた。