同僚編~どんな教師も子どもを幸せにするための仲間~
情報の交換がうまくできていると、自分が担任するクラスの子以外にも、どの子が困っていて、どの子が助けを求めているのかがすぐにわかります。
すると学年の教師全員でその子に声をかけることができます。何か問題が起これば、指導をする人、フォローに回る人などの役割分担が迅速にできるのです。
情報を制して先手をうてば効果は2倍、後手に回れば苦労は2倍です。また、情報交換がうまくいっていると、困っている同僚に、すぐに助け舟を出すこともできます。
チームで動くうえで大切なことは、一人で悩みを抱えないことです。人を頼りにすることは「弱さ」ではありません。むしろ「連帯を強める力」になるということです。
支えあい、励ましあって生きるのが人間です。多少子どもの問題行動が多くても、教師が情報交換を密にし、助け合うことができていれば、楽しく仕事ができます。
反対に、教師が孤立し、助けを求めることのできない状況であれば、精神を病んでしまうでしょう。
情報を交換する中で、問題行動を起こした子のクラスの担任に報告すると、「すみません……」と謝る人がいますが、私はその人の教育を批判したいのではなく、みんなで育てることを大切にしたいのです。
だからそういう時は、すみませんではなく、ありがとうでよいのではないでしょうか。その方がお互いに気持ちよく仕事ができます。
教師同士助け合うということについて、とても印象的だった光景があります。それは、体育祭の日の朝です。前日は雨が降っており、実施できるか、子どもも教師もみんなが心配をしていました。
私は、当日の朝に分担された仕事はありませんでしたが、グラウンドの様子が気がかりで、出勤時間よりも1時間程前に学校に到着しました。
するとすでに多くの先生方が、「自分にもできることはないか」と、グラウンドの水取りやテントの組み立てをしていたのです。
誰に褒めてもらえるでもなく、誰に命令されたのでもなく、子どものために、体育祭を中心になって進める先生をサポートし、みんなで準備をしました。
体育祭がはじまる前から汗をかく同僚を見て、この人たちと一緒に働けていることが誇らしくなりました。
自分の仕事をきっちり行うのは当然として、同僚にも助けの手を差し伸べるために、「仕事に追われるな。仕事を追え。そして余裕のある状態でいろ」と私はいつも自分に言い聞かせています。
そして忘れてはいけないのが、学校を支えてくださる職員の方への感謝です。学校には、教師以外にも、事務さん、用務員さんなど、さまざまな職員の方がいます。学校はともすれば教師が主役で、職員が脇役のようになりがちです。