小説 『夫 失格[注目連載ピックアップ]』 【第20回】 時亘 一肇 夫が2階に上がるたびに走る緊張感。少しずつ、少しずつ、荷物を運び出し、夫から離れる準備を進める…絶対に悟られてはいけない 【前回記事を読む】昼夜問わず怒鳴り続ける夫の声は、ご近所中に広まっていた。遂に家を離れる決心をし、行動することに…女性センターに電話すると、提携する弁護士さんを紹介してくれた。そして後日、その弁護士さんに会いに行った際、「離婚される気はありますか?」と聞かれたので「はい」と答えると、「では家を出ないといけません」と。離婚調停をするにあたり、同じ屋根の下で当事者同士が一緒に生活しているのはおかしい…
小説 『眠れる森の復讐鬼』 【最終回】 春山 大樹 手紙に書かれていたのは「死をもってこの罪を償います」――紙がくしゃくしゃになるほど強く握りしめ、彼女の名前を何度も呼んだ 【前回の記事を読む】「お前を友達と思ったことはない。ただ――」冷酷な一言の後、男が下した予想外の決断とは「梨杏が死んだことで生きる意欲を失ったんじゃないかな。とにかく気にするな。せめてこれからは皆明るく生きようじゃないか」金清は笑顔でそう言うと、席を前にずらして、二人に椅子を勧めた。「今城蒼の自宅を捜索した時に彼の部屋から梨杏の遺書が見つかった。自分が中村大聖と石川嵐士を殺したと自白する内容で、…