恐るるは何もせぬこと夏来る
水着干す果たしきれない思いごと
君いつも残塁のまま夏迎ふ
―春―
身に余るミモザ抱えて人を待つ
猫の恋吾よりいくばくかは清く
―夏―
膝頭抱いて鎮まぬ青嵐
幸せを温めなおす五月かな
―秋―
千の菊抱きてあまりにも一人
りりりるり鈴虫まねてけんか終ゆ
―冬―
雪うさぎ今消えゆきし身を抱き
酉の市ちがう男の手も温し
平成の句姫、みよこの初句集を連載にてお届けします。
恐るるは何もせぬこと夏来る
水着干す果たしきれない思いごと
君いつも残塁のまま夏迎ふ