「わあ」

またも恐ろしさで後ろにさがった時、メタタアコが言ったというか叫んだ。

「せん、せん、せん」

見ると足元にコルクが二つ落ちている。拾って渡すと両耳にキュウキュウと詰め込んでしばらく動かなくなった。

「ちょっと大丈夫なんですか?」

尋ねるとパッとびしょびしょの顔を上げて言った。

「はい、落ち着きましたぁ」

「そんな風にビンのお酒ぬいたらどうなるんですか?」

「だめです、脳みそまで流れるじゃないですかぁー。今でもギリギリですのに」

「はあ、でもさっき私に勧めてませんでしたか? 脳みそ入りだったんですか?」

「まあ、さっきはね冷静でしたから。頭を使うと色々と混ざってきます。毛細血管がスパークするみたいですね。大事には至りませんよ。ときどきシャンパンファィトです。カーレーサーが優勝した時なんかにやるでしょう。あれとおなじでしょ~」

「いや、全然違うと思います。それに十分大事に至ってるじゃないですか?」

「いいんですよぉ、死んでるんですからぁ」

「ああそうでした」