命日

それから母は三か月ほど一進一退の状態を繰り返しながら徐々に死に近づいていった。

【関連記事】「出て行け=行かないで」では、数式が成立しない。

朦朧とする意識の中で譫言のように漁火の心配を口にする日々が続き、美紀が病室に見舞っても頼りなげな息をしながら寝ているか夢うつつの中にいた。話もできず美紀はそんな母の顔をしばらく眺めては着替えを置いて病室をあとにするのだった。

そんな日々が続く中、母を見舞った翌日の昼過ぎだった。病院から電話で母の病状が急変し危篤状態なのですぐに来て欲しいと連絡が入った。母の意識が混濁し始め、携帯の電話が鳴る度に病院からではないかと言いようのない不安に駆られる日々を過ごしていた頃だった。

「来るべきときが来たか」