予期せぬパンデミックに襲われたいま、向かうべき未来の展望とは。
コンサルティング会社の社長が教える、これからの時代を乗り切るヒント。 新型コロナによって「人のあり方」「人の育て方」は大きく変動した。ウィズコロナの時代にどう働いていくか。本連載で解説していきます。
アフターコロナで、非製造業分野のイノベーションが起こる
日本人は、一度作り上げた方法を見直したり、捨てたりすることを非常に嫌います。どう考えても不合理なことに、なぜ、このようなやり方をするのですかと上司に質問するなら、「いや、これは昔からこうするようにと先輩から教わってきたのだ」と返ってきます。そこで話が終わるのです。
私たちは、海外の人に、日本人のこうした不合理な行動を説明するのに、大きなエネルギーを使うことがしばしばです。話が逸れますが、私は企業経営者、社員のみなさんにアドバイスを数多くしてきましたが、その中に、感情制御についてレクチャーすることがあります。
私たちは改革をする、あるいは新しいことにチャレンジしようとすると、必ず、抵抗する人が出てきます。「それは難しいと思います」「やったことがありません」などと必ずネガティブな反応をする人が出てきます。
中にはポジティブな人もいますが、おおよそ、ネガティブな人に押し切られます。まさに、いまの日本の政治、役人、企業の世界に広くみられる現象です。
実は、この現象は、感情と深い関係があります。私たちはいつの時代も命の危険にさらされて生きてきました。地震、津波、噴火、戦争、権力闘争、飢餓、疫病などです。疫病が広がれば逃れる術はなく、飢餓の恐怖は常にありました。
こうした命の危険をいち早く察知し逃れられるように、私たちの脳は出来上がりました。扁桃体という脳の器官があります。ちょうど耳から4センチほど奥に、二つあります。私たちは常に命の危険がありましたので、その器官が発達しました。