和彦が仕事終わりに出逢ったのは、着物姿で物憂げに歩く女性・澄世であった。 平坦とはいえない彼女の人生と、その決意の奥に秘められた想いとは…? 著者が自身の日記をベースに書き上げた小説を、連載にてお届けします。

セカンドオピニオンを希望した澄世、インテリっぽいB先生は…

平成十九年一月五日(金)、K病院の婦人科へ結果を聞きに行った。

「Ⅲbでした」

K先生は、澄世に検査結果の用紙を渡した。

「……」

澄世は泣きたかった。

「子宮摘出手術をしましょう」
「……嫌です!」

澄世はハッキリと言った。

「それなら、せめて三ヶ月毎に検査して、経過観察をしましょう」

澄世はもう、怒りと悲しみでいっぱいだった。K先生の事が大嫌いになっていた。

「失礼します」

澄世はそう言って、診察室を出た。その足で、心療内科のD先生を受診した。

「もう嫌です!……」

澄世は泣いた。

「K先生はベテランだけど、貴女にはきつかったかな? 女医さんもいるから、今度、女医さんに診てもらったらどう? 僕から言っておいてあげるから、そうしなさい」

D先生にそう言われ、次の週、若い女医の診察を受けた。

「悩まれてるんですね。癌かどうか確定診断するために、子宮内膜全面掻爬をしたらどうですか? 下半身麻酔をしますから、痛くないですし」

女医はあっさり言った。えっ? 澄世は少し考えて、ゾッとした。そんな、堕胎みたいな検査をするなんて、死んだ方がましだ! そう思った。

「先生。セカンドオピニオンをさせて下さい」
「いいですよ、では書きますので、待ち合いで待ってて下さい」

受付に呼ばれ、手紙とプレパラートと、MR画像の入った大きな袋を渡された。澄世はネットで調べて、横浜の方のS病院のB先生が、女医で婦人科医として有名な事を知り、横浜まで行った。ショートカットの髪で、インテリっぽいB先生は、手紙を読み、資料を診て言った。

「あなた、志願したんだから切りなさい!」

その一言だった。