Slime Slime Slime

ミコトはすぐに、グラスの中身が水だということに気付いた。

だが、いくら戦士だからとはいえ、酒場に来てまで水を飲んでいる……。そんなタクを、ミコトは両手で口を押さえ、クスクスと笑った。

「タクさんも早く家に帰ったほうがいいですよ。お水じゃ、いつまでたっても酔えませんからね。ほら、口元が汚れています。このハンカチを使って下さい。」

ミコトはそう言うと、ポケットから白いレースのハンカチを取り出し、そっとタクに差し出した。タクが少しだけ迷惑そうにミコトの方を振り返ったその時だ!

「うっ……。」タクは急にカウンターのテーブルに倒れ込み、気絶した。

(タクさん、ごめんなさい。)ミコトが何かをしたようだ。ハンカチでタクの口元を覆ったあと、タクは倒れた。そう、クロロホルムである。

どのくらい時間が経ったのだろうか。しばらくして、タクがぼんやりと目を覚ました。

「あれ? ここは……?」