叩かれた頬をなぞりながら
「お、お言葉ですが、お国のためですよ、今多くの兵士が特攻で命を落としています。私たちも来るべき本土決戦に備え、アメリカ軍がやってきたら、戦って戦って、それでもダメならこの基地もろとも……」
「ずいぶんな覚悟だな、自爆するときは、わたし一人でいい……」
「上等兵と菊池一等兵は女だ、アメリカ兵に何されるか分からない」
「……」
普段、冷静沈着なシマが頬を叩くのを見て涼子は怯んでいた。
その時、ピピっと甲羅から頭のようなものが飛び出てきた。二つの目は丸くそして赤く光っている。また口のようなものもついている。
「ひ、ひ……、これはなんですか?」
小柄なアツシは甲羅から飛び上がった。
「ココは」
「ええっ! しゃべった!」
驚く涼子とアツシを尻目に。
「からくり人形か?」
シマは極めて冷静にその物体を見つめている。
「これは、日本軍の秘密兵器ですよね」
「いや、実を言うと近く田んぼの中で空から落ちてきたのを拾ってきたんだ……」
「ドコですか」
赤く目を点滅させながら、その物体は口から発声した。
「そんなもん、誰が教えるか!」
アツシは興奮して応えると同時に、空から落ちてきた? 時限爆弾か? 新型の偵察兵器?……と考えを巡らせた。汗が一気に顔から噴き出した。