カスは死ぬまでカスなのだ。
「あいつは、相変わらずカスだよ」
「そうなのか?」
「ヤクザの下っぱにペコペコして、ヤクザでもないのにヤクザぶって……年下のガキから金を巻き上げたりしているらしい」
「相変わらずだな」
「将太君が居なくなってから、さらに粋がっていて、昔つるんでいた同世代の人たちも、誰もあいつを相手にしていないよ」
禅は、カスは死ぬまでカスだと思った。賢一は話を続けた。
「あいつは本当にカスだ、あいつだけは許せない!」
賢一は、震えながら唇を噛み、怒りをあらわにした。禅は驚いた。昔から曲がった事が嫌いな賢一が、剛史を嫌いな事は理解できた。しかし、あまり感情を出さない賢一が、目に見えるように感情をあらわにしたからだ。
“賢一が、こんなに感情的になった事があっただろうか? それに、昔の事なのに……随分、執念深いんだな!?”
「賢一、剛史と何かあったのか?」
賢一は我に返った。
「い、いや……そう言う訳じゃあないけど……」
そう言って苦笑いを浮かべた。
禅は思った。
“人は成長するからな、賢一も自己主張するようになったのだろう”