第三章 捜索開始

辺りはもう陽も沈みうっすらと暗闇に染まってきており、周りの家々はポツリポツリと電灯が点き始めている。

自転車に乗って走り出すとすぐ、「ショーちゃーん、ショーちゃーん、ショーちゃーん、何処へ行ったのー」と小さな女の子の声が聞こえてきた。同じマンションに住むカヨちゃんの声だ。カヨちゃんはショーと同じ年齢でしっかりものだ。

その声の方を向くと同じマンションの奥さんや子供達が探してくれている。ありがたいことだ。私の娘も一緒に探している。私は思わず目頭が熱くなるのを感じた。

私は失礼なことと思いながらも、自転車に乗りながらペコリと頭を下げただけでみなさんを後にした。

さあ、何処を探そう。自転車に乗りながら考えた。そうだ、ショーが好きな場所に行っているに違いない。

こころ当たりの場所。家から直ぐ近くのコンビニ。市内の公園三箇所。私とショーが休みになるといつも行くところだ。この辺りをしらみつぶしに探そう。

まず、家から一番近いコンビニへ行く。
このコンビニもショーとの思い出が詰まった場所だ。

この場所で一度、ショーが好きなガムとコーラを買った。その日からショーの頭にこのコンビニが刷り込まれてしまったのだろう。ショーはこの店の前を通る度にガムとコーラをせがみ、私が休日等で家に居るときでも、必ずコンビニに行ってコーラとガムを買うということが習慣になってしまった。

このパターンをちょっとでも外すとショーはパニックを起こす。