第二章 過去の失踪

この日の教訓。デパート等でショーが居なくなった時は、「トイレや水道等の水がある所を探せ」と、妻と私の心の奥底に強く刻みつけられた一件であった。

ショーにとって迷子という言葉はない。絶対道に迷うこともない。何故なら気の向くまま好きな所に行くだけだから……。

この夜、妻とつまらないことで口論になってしまった。私がビールを飲みながらテレビを見ている時のこと。妻はいつになく正座して

「あなた、ショーの親なのだからしっかり見ていてくれないと困ります」
「……」

私は相変わらずテレビを見ている。

「聞いているの?」
「聞いているよ。分かっているよ。もう、終わったことなのだからうだうだ言うなよ」
「普通の子供を育てているのではないのよ。障害を持った子供を育てているのよ。もっと協力してくれなくては困ります」