第二章 ゼロからのスタート

TOTO工場内の設備工事

父は長年のアルコール依存症で肝臓を壊し、近くの病院に入院することになりました。私がおぶって病室に入り、ベッドに横になった時は、看護師さんと冗談を言っていたのですが、その夜に容態が急変し、明け方、息を引き取りました。

戦前戦後を苦労して生き抜いた親父に、ようやくこれから親孝行できるかなと思っていた時でした。五十九歳の生涯は、私たち家族から見れば、悔いの残る短い生涯だったと思います。

酒飲みでしたが、優しい父でした。私がやりたいこと、やろうとすることにはほとんど反対しませんでした。

いつも、「そうか、お前がやりたいのならやってみよ」という感じでした。父が酒飲みになったのも、今ならわかるような気がします。どうしようもできない自分に悩み、もがき、苦しみ、酒で紛らわせるしかなかったのかもしれません。

父の苦労がもう少しわかっていれば理解してやれたのではないかと、自分の非力を申し訳なく思う日々です。と同時に、今あるのは父のおかげだと感謝の思いでいっぱいです。