手術は楽しい
初執刀以来、僕は目の色を変えて手術を勉強するようになった。手術に入るのはもちろん、少しでも時間ができれば手術を見学する。
そしてその日のうちに手術のビデオを見返して復習し、過去のビデオを見て次の手術の予習をする。やっていることは以前と変わらないが、課題を意識できたおかげでより緻密に手術を学ぶことができるようになった。
今まで適当に流して観ていた工程が実はポイントだったりすることにも気づいた。百聞は一見にしかずという言葉通り、やってみて初めて見えてくるものがあった。
初執刀から1週間。週間予定表に、『胆嚢結石症 腹腔鏡下胆嚢摘出術 執刀医:山川医師』と書かれていた。早くも2度目の執刀のチャンスが訪れたのだ。
僕は初執刀のビデオを何度も見返した。鉗子(かんし)の動きが拙い。そこを切ればいいのに、という場所をなかなか切らない。
自分のビデオは本当に見苦しかった。それでも、見返すことであの独特な雰囲気を再び思い出すことができる。