そう考えていると将太が言った。
「お前バスケット、上手いんだってな」
優しく言った将太に禅は驚いた。
「え? いえ、それほどでも……」
「聞いたぜ、お前のおかげで、バスケ部は全国大会に出場するんだってな」
「そ、そうですか……」
ただ茫然としている禅を見て、将太は言った。
「俺は中学を出たら相撲部屋に入門する」
「え!?」
「そしていつか横綱になる!」
どう答えていいか分からない禅は、ただ将太を見つめていた。
「お前も頑張って、バスケットで上を目指せよ」
将太は、そう言うと笑った。禅は、うなずいた。
「はい、頑張ります」