待機児童問題と少子化問題
日本の人口がどんどん減っていくなかで、保育所不足のために人口減少に拍車がかかるのは大きな問題である。もちろん、待機児童問題と少子化問題は同義語ではないが、密接に関係しているのは明らかである。日本の人口を維持する合計特殊出生率の人口置換水準は二・〇七であるが、二〇一六年は一・四四と低い合計特殊出生率であった。ご存知のように、日本の人口はどんどん減っている。
ちなみに、合計特殊出生率とは、一五歳から四九歳の一人の女性が生涯で産む子どもの数で、定義はWHOが定めており、日本はG7カントリーの合計特殊出生率でも平均以下である。二〇〇五年から二〇一六年までの合計特殊出生率は下記の表の通りで、微増ではあるが、日本の人口を維持する二・〇七と比べると、全くの低水準である。
一九四七年から二〇一三年までの出生数と合計特殊出生率を見ると、表2の通りで、二〇一六年には、ついに出生数は百万人を割り、九七・七万人となっている。二〇一七年も出生数は百万人を割り、二年連続で人口数の低下が進んでいる。
またひとり親家族の場合は親は働かざるを得ないため保育所は必要とされるが、保育所への入所は簡単ではない。このような待機児童問題を解決しようと政府も地方公共団体もいろいろな策を打ってきたはずだが、残念ながら待機児童の問題は解決されていない。
当時(二〇一五年秋)、私には四歳の男の子と一歳の女の子の二人の孫がいて、娘夫婦は子育てで大変だったが、私にとって孫たちはかわいくて、癒される存在だった。娘夫婦は、夫が大手製造業の研究者で、娘は結婚に伴い仕事を辞め、専業主婦となり、子ども二人を必死に育てていた。恵まれて幸せな娘夫婦と孫たち。それが普通と思っていた私は、世の中の実態を知らなさすぎたのだ。