第1章 医療

胃ろうは何故減った

最近鼻にチューブを挿入された患者さんが多くなりました。中には気管切開も受けている方もいます。

意識のない方が多いのですが時には意識のある方もいます。鼻に入れられたチューブの目的は栄養補給のためです。何故今鼻管チューブなのか。胃ろうがバッシングを受けた結果からなのだろうと思います。

栄養補給のために胃ろうを造設しそこから栄養を入れる。寝たきりで経口摂取ができず胃ろうを造設された患者さんが増加した結果、「何と非人間的な行為だ」「そうまでして生きていたくない」「私はごめんだ」など様々な批判が巻き起こりました。

かつて寝たきりの状態になり鼻から管を入れられ点滴を受け膀胱にも管を入れられた状態を「スパゲッティ症候群」と批判された時期がありました。

鼻から管を入れられるのは苦しいものです。それに肺炎も生じやすい。「苦痛を少なくしよう」「肺炎の合併を減らしたい」。そんな気持ち、工夫の中で発達したのが胃ろうだと思います。

したがって苦痛の軽減、合併症を防ぐ点からも鼻から管を入れるより胃ろうの方が優れていることは言うまでもありません。だからこそ胃ろうが普及したのです。

それなのに何故今胃ろうが減り鼻管栄養が増えたのか。食べられない。栄養を補わなければいけない。でも胃ろうは批判されている。御家族も抵抗がある。それならばとの選択が鼻管だったのではないかと思います。