俳句・短歌 歌仙 2020.10.27 歌集「ひとり歌仙」より三首 ひとり歌仙 【第13回】 田中 靖三 “気がつけば超電導の虜なり” ――科学と日常を結びつける新しい文芸の形。 電気抵抗ゼロで世界に革新をもたらす夢の科学技術「超電導」。日々刻々と新しい技術に取って代わられる科学の世界において、人の寿命にも伍する100年以上の歴史を刻む「超電導」を、「5・7・5」の長句、「7・7」の短句を詠み重ねる歌仙方式で花鳥風月を織り交ぜ、詠いあげる。科学叡智の結晶「超電導」は、歌仙の響きと共にやさしく世界に溶けていく。 松尾芭蕉が作り上げたと言われるこの型式の、独吟による「ひとり歌仙」を連載にてお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 抵抗のまさにゼロとや摩訶不思議 超の電子ぞ格子を潜る 電子対でなきや嫌よと現象論 量子論にて一件落着 談笑も終わりて仰ぐ秋の月 雁のかかるをちとひと寝入り
小説 『毎度、天国飯店です』 【第6回】 竹村 和貢 サークル勧誘チラシの前で、『徒然草』を抱えた美人と出会った…。 天国飯店の定休日は毎週火曜日。アルバイト生四人で、月曜から土曜の間の五営業日を分担する。四人のうち誰か一人が二営業日に入る。その者以外の三人のうちの一人が日曜日に店に入る。日曜日は大学が休みなので、朝の十時から閉店の午後九時まで十一時間店に入ることになる。「ほな、俺、明日もバイトやさかい、おっちゃんに自分のこと話してみるわ。多分、おっちゃんも構へん言わはる思うねんけど」夏生は、「できない」とは思…
小説 『ラガーマン ジャッカル翔』 【第15回】 上山 照 銃撃事件の犯人はアラブ系らしい…。そう告げると二人は驚愕した表情になった ヨシムが「私達のテーブル脇で血に覆われて倒れていた男は亡くなりましたか?」と尋ねた。クリストファーが「いいえ、出血が多いように見えたかも知れませんが耳だったのでそれ程酷くなく、ボディガードの方が搬送された同じ病院で入院しています」ヨシムが「重傷者は多いのですか?」と聞くと「重傷の方はお仲間の方とジャイルズのメンバー二人に、会場から逃げる時に倒れて大怪我をした方が八名程います」ヨシムが「犯人の目途…