3章 世界のパラダイム

次に、理屈の上からは、地球環境を破壊する現在の大量生産、大量消費、大量廃棄のモデルから遠ざかり、かつ、国境間の移動を制限し、自国の中に閉じこもるパラダイムがあります。

ちょうど鎖国を続けてきた江戸時代のスタイルです。自国に閉じこもり、国策として、鎖国状態をつくりあげる国は出てこないと思いますが、国家から個人の視点に移せば、この第2象限の人々はかなり多くいます。

欧州に多いスローライフを実現しようとする人々であり、日本では、都市を離れ、田舎に移り住み自給自足に憧れる人々です。

では、これらと異なるパラダイムはどのようなものでしょうか。それが第1象限です。第1象限は、大量生産、大量消費、大量廃棄を完全に見直そうとするモデルです。

また、国を閉ざすのではなく、世界と連携しながら、新しい世界を創りあげようとするパラダイムです。SDGs(持続可能な開発目標)と開放系、この二つの要素で成り立っています。

では、それぞれの問題点を見ていきたいと思います。まず、第4象限です。これは現在、私たちはこのパラダイムで暮らしていますので、容易に理解することができます。

結論は、すでに出ています。これでは「地球は壊れて、私たちは生きていくことができません」。従って、人類はこのパラダイムを卒業することになります。

第3象限はどうでしょうか。自国ファースト・パラダイムといってよいかもしれません。自国だけ生き延びることは不可能です。今回の新型コロナは象徴的で、どれだけ国境を閉ざしたとしても、ウイルスに国境はありません。

また国境を閉ざせば生産力が落ちることは明らかであり、現在の生活水準を維持することはできません。豊かさを求めて国境を封鎖し、自国の支配領域だけを広げようとしてもうまくいきません。