第3章 世界のパラダイム
いままで一生懸命走ってきた人、そのうしろをついてきた人、ゆっくり歩いてきた人。急ブレーキをかけられてすべての人が止まったところです。ちょうど、列車が急ブレーキをかけても間にあわず何かにぶつかり、急停止したところです。
何事が起こったのか、窓の外や居合わせた人の顔をみながら、様子を窺っているところです。その事故は、大きな事故で、再び列車が動かないかもしれません。どうも線路が壊れたようです。乗客は列車から降ろされ、バスに乗り換えなければならないようです。
さて、私たちの目の前には、新型コロナが終息したころにどんな風景が広がっているのでしょうか。整理をしていきたいと思います。
図1は、いままでの世界とこれからの世界のパラダイム(枠組み)を示したものです。X軸は社会の開放度を示しています。Y軸は、地球環境に対する配慮を示しています。
私たちが今回の新型コロナを通じて、あらためて現代文明を見渡したときに、誰もが思う要素を軸にしてあります。私たちの直感は、このまま続けて「地球は持つのか」「グローバル資本主義をこのまま続けて、私たちの生活は持つのか」です。
2020年のダボス会議で「資本主義は死んだ」(米セールスフォース・ドットコムのマーク・ベニオフCEO)という議論が交わされました。資本主義に関する専門的な見解は諸説ありますが、世界の人々の心の中では、グローバル資本主義のこの見方に共感する方がほとんどではないでしょうか。グローバルといいながら、その利益を享受しているのは一部の企業です。