第3章 ヒューマンエラー防止対策
2、ダメージを防ぐカベの設置
2-6 m(マネジメント)
飛行機は、絶対に故障があってはいけません。そのため整備上のミスが発生しないよう、そこには完璧な整備ルールとそれを確実に実行するためのマニュアルがあります。
谷間に一本のロープを渡しその上を人が渡って行くパフォーマンス、いかにも危険な行動です。しかし、現実に事故は発生しません。環境という活動の場に大きく空いた危険な穴、このダメージに対し、渡る人の力量という大きなカベが事故の発生を防いでいます。
更に、このパフォーマンスは自然条件が悪い日(風の強い日)には絶対に実施されません。陰で自然条件からのマイナスの要因を防ぐ管理がしっかりとされているからです。
もし仮に、演技当日の気象条件を考慮せず、風の強い日に演技を強行してしまうと、パフォーマンスの途中で突風が吹き演技者はバランスを崩して、とんでもないことが起こってしまうでしょう。
飛行機の整備やロープを渡るパフォーマンスには、裏でマネジメントが重要な役割を担っています。いろいろな不具合を想定し、それら不具合が実際に発生しないよう様々な準備をしているのです。
かなり強引な言い方ですが、組織活動の中で発生する不具合を防止する活動、それがマネジメントです。その意味からすると、形は違えどどんな活動にもマネジメントは必要です。
皆さんは“現場力”という言葉を御存知でしょうか。現場力については、“常時発生する問題を自ら解決する能力”、“問題発見力・課題発掘力”などなど、いろいろな定義がされています。
そして、現場力の重要性や必要性についても、数多く説かれています。「現場力をもっと向上させるべきである」と。しかし、具体的に“どうすれば現場力が向上するのか”、そのヒントを教えてくれるものは、そう多くはありません。