「私たちの生き方」を変えた方を、心に迎えよう
「今、歴史が変わる」と、その時間の真っただ中に生きているときには、気づくことは難しい。これで歴史が大きく変わると思った事件も過去に多くあったが、結局、驚くほどの変化は起こらずにきた。しかし、と思う。今回はたしかに歴史の流れが変わるその瞬間に生きているのではないかと。
パニックを起こしているわけではないが、この2カ月ほどで5冊のパンデミック関連の本を読んだ。世界・日本の知性と目される方々が、この半年ほどに出版し、コロナ禍中・後についてさまざまに書かれている。しかしどんな偉い人であろうと、予言者ではない。皆同じように手さぐりであることが分かる。
これからしばらく続くコロナとの闘いの日々、そしてその後の世界がどうなるのか、その中で日本キリスト教海外医療協力会(JOCS)は、どのように活動していけばよいのか。そういったことを考えている。
この出来事をきっかけとして、私たちはどう生き方を変えていくのか。歴史はどの方向に進んでいけばよいのか。イスラエルの歴史学者であるユヴァル・ノア・ハラリ氏は言う。
「世界中の人々をウイルスの拡散から守ることができたら、そして、世界中の人々をこの危機に伴う経済的苦難から守ることができたら、私たちの勝利といえるでしょう」。
ドイツの哲学者であるマルクス・ガブリエル氏は言う。
「ウイルスのパンデミックの後に必要なのは、形而上学的なパン・デミックである。……私たちは今も、これからも、地球の一部である。私たちは今も、これからも、死すべき存在であり、弱いままであり続ける。だから、私たちは形而上学的なパン・デミックという意味での地球市民・世界市民になろう。他の選択肢を取ると私たちは終焉を迎えることになる」。
教皇フランシスコは強調される。
「希望と勇気、そして慈しみの感染が世界に拡大することが今望まれている」
宗教社会学者のロドニー・スターク氏は、「なぜ小さなメシア運動がローマ帝国全体に広がったのか」という問いに対して、ローマが悲惨な疫病に覆われたとき、ユリアヌス帝がガラテアのローマ神の高位神官に宛てた以下の手紙を挙げている。
「不敬なガリラヤ人たちは貧しい仲間だけではなく、我らの貧者にも救いの手を差し伸べるというのに、われわれにはそうした慈悲の心が欠けているのは恥ずべきことだ」
世界は、一瞬では変わらない。好ましい変化は、歴史の中で進行する愛による変化を、長く続けていくエネルギーを私たちがいかに得るかということによる。その力を与える方の「誕生と生と死と復活」に、私たちは力を得て進んでいく。
そのお方の誕生を寿(ことほ)ぐときを、今年はこのコロナ禍の中で迎える。クリスマスおめでとうございます。
(「みんなで生きる」473号 2020年12・1月号)
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