まず、リブの材料は厚さ〇・五~〇・八ミリの極薄のバルサ板だが、そのバルサは比重にばらつきがあるので、一枚一枚、薬剤用天秤で重量を量って比重別に分けて、カッターナイフで極細の棒材にする。
次に透明なアクリル板にリブの外形を描き、その外形の線の上をなぞるように小さな駒を数センチ間隔で固定する。そして先ほどのバルサの棒材を駒に沿わせてリブの外形を作っていく。そのままだと外形がつぶれるので、内側に斜めの補強材をいれる。
まだ弱いので、外形に縁を作って補強する。もちろん、補強材のすべての接合部分には、「ガセット」と呼ばれる小さな木片を貼り、補強の補強をする。
リブ一本を完成させるのに、工作の上手い人なら二時間くらい、普通の人は三時間くらい必要だ。
このリブを二五〇本製作し、厳選した二一〇本を桁に通す。通すだけだとフラフラと動くので、リブの後端にはバルサ材を△断面に成形した後縁材を置き、桁から後縁材の間には、右翼端から左翼端まで、一本物のカタン糸を数本配置してふらつきを止め、その上でリブを接着する。
リブの前半分はスチレンペーパーを貼り、その上からガンピ紙を貼る。後半分はガンピ紙だけを貼る。こうして美しい人力飛行機ストークの翼が出来上がる。
このようにして組んだ華奢な翼を、床に平置きするのは厳禁だ。
ダンスの衣装の広がったスカートを床に平置きしたら、形が潰れてしまうように、ストークの雫型の翼も平置きしたら潰れてしまう。衣装は布なので、潰れても人が身につけたら元に戻るが、ストークの翼は木製なので、潰れたら元には戻らない。平置きイコール破壊行為なのだ。
二〇二一年三月三日、突然、ストークが報道陣の前に出てきた動画で、平置きされている翼を見て、石井の表情が険しかったのもこのためだ。
次回更新は5月28日(木)、7時の予定です。
【イチオシ記事】「凄いイケメンくんだ…ちょっと想像以上だわ」肩から少しずつ脱がされ、身体を重ねるような密着マッサージがはじまり…