運転手は再びホテルへと戻っていった。腕時計の針はまだ5時少し前。待ち合わせの時間まで、あと30分程の時間を潰さなければならない。幸い店の客もまばらになり自然、親父との会話になった。

「旦那はタイ語がうまいけど日本人かね」「そうだよ」「最初色が黒いからタイ人かと思ったけど話しているのを聞いて日本人かなと思ったよ」「どうしてわかったの」

「ウン、まず姿勢がいい、それに眼光が鋭い。タイ人はもっとだらっとしてとろんとした目つきだからすぐわかるよ」

「なるほどね、気をつけよう」「別に気にすることはないよ。俺は日本人のそういう感じはいいと思ってるんだ。なんといっても日本人は我々の模範だからね。我々も早く日本人のようになりたいと毎日頑張ってるんだけど、50年はかかるだろうと思うよ。

俺の代ではとても無理だと思って息子には少しでも教育をつけさせてやりたいと一生懸命働いてるんだけどその日暮らしだ」「休みの日はあるのかい」「そんなものはないよ。旦那みたいに休んでいたら我々は干上がってしまうよ」「俺だって休日ゼロだよ」

「へえー、そうなんだ。ところで旦那は何年タイに住んでるの」「来タイ7カ月目に入ったところだ。月に1回ビザの更新のためにラオスのビエンチャンに行かなければならないんで面倒だよ」「たったの半年ぐらいでよくそんなにタイ語がしゃべれるね。日本人は本当に頭がいいな」

「冗談じゃないよ、昼間は懸命に働いて夜はどんなに疲れていてもタイ語学校に通って勉強してるんだ。個人レッスンだから授業料も半端じゃないよ。いつも手帳とペンを持ち歩いてメモを取っているのさ」「すごいね、すごすぎる」

夜のタイ語学校に通って連日苦闘していると称する男の学校とは、ナイトクラブとソープランドのことで、彼は優等生として性都バンコクの夜を満喫していた。

 

👉『東洋のカサノヴァと呼ばれた男』連載記事一覧はこちら

【イチオシ記事】「凄いイケメンくんだ…ちょっと想像以上だわ」肩から少しずつ脱がされ、身体を重ねるような密着マッサージがはじまり…

【注目記事】「僕を焦らして苦しめるのは君くらいだよ」ブラウスのボタンを外しはじめ、腰が砕けそうになる。まだ会社なのに…