私が空を飛ぶ理由~つばめのつばさ~

夢を自由にコントロールする

私は夢を自由にコントロールできるようになった。そして空と時間を自由に飛べるようになった。

今から話すのは、50年近くずっと心の奥で気になっていたことを確かめに行くまでの長い旅の話だ。

私は中学時代のクラスメイト、武藤照子に会いに行った。彼女は社会科の時間のライバルであり、同志だった。

その後違う高校に進学し、ある日突然彼女が自殺したことを知った。

 

定年後も仕事は続けているが、肩の荷が下りたせいかゆっくりと寝られるようになった。昔からどんなに多忙な日も、たとえ短い睡眠でも、必ず夢を見ていた。それが最近さらにひどくなった気がする。

夢をほとんど見ない人がいることを知ったのは、妻に会ってからだ。結婚して隣で寝ていると、私が夜中や朝に、突然一人でしゃべり出すのを彼女は気味悪がった。

 

そのとき私はイタリアのフィレンツェにいて、観光ガイドをしていた。

そんな仕事は初めてだ。だが中世の街並みを案内し始めると、自分が知らなかった言葉が次々と出てくる。私はなりきることにした。

妻は私が起きているのではと覗き込むが、笑顔のまま身振りを交えてしゃべり続け目だけは閉じている。

 

次の夢では、私はオーケストラの指揮を任されていた。生来クラシックは好きだが、楽器はおろか指揮などやったことはない。それでも楽器を携えた何十人もの視線が私の手元に集中している。やるしかない。私は両手を挙げて振り下ろす。

暗い寝室の空に向かって、ひたすら両手を激しく動かし始めた。妻はその姿に、私が悪魔に憑りつかれたとだと恐怖を覚えたそうだ。

最近の私は時間に余裕があるのをよいことに、好きなときに好きな夢を見られないだろうかと考えた。試してみると、さほど難しくない。

寝る前に映画や動画を見たり、本を読んだりするだけで、数分後にはその世界に入り、お好みの登場人物になっていた。