「こちら通行止めでーす。あちらの入口からどうぞー」

その場に立ち尽くす僕を見て、周りのヤツらが、女がケタケタ笑っている。

「おい、通してやれよ。こいつ泣いちゃうよー」

「かわいそうー」

口々にそんなこと言いながら、僕の、今の現状や事情など何も知らずに、ただ自分らが楽しくなるためだけに僕をバカにする。

就活も逃し、大学生活を賭けたリベンジもできず、挙句にこんなヤツらにまでバカにされている。自分が置かれているこの哀れな状況にハッキリと気がついたとき、僕は頭が真っ白になった。

バンッ!!

気がつくと、僕はそいつのあげた足を思いっきり踏んでいた。

静まりかえる店内。呆然とするパチモンエグザイル達。

「いてーな、てめえ!!」

パチモンリーダーは立ち上がると、注文していたビールジョッキを持ち、バシャと僕にかけてきた。

僕の顔にビールがかかった瞬間、僕の目の前は真っ白から真っ赤になった。これは伝わんないかもしれないし、僕だけかもしれない。

でも確かにあのとき、白の次は赤だったのだ。怒りの沸点を超えて、なにかの血管が千切れたのか、本当に目の前が真っ赤になったのだ。そしてその瞬間、僕の頭の中では今までのことが全てよぎった。

金髪坊主にボコボコにされて漏れた「助けて」。

隆志に言われた「ダサい」。

キツネ目オヤジのウィッシュポーズと電話での「淫行野郎」。

それだけじゃない。全部。全部が蘇った。

北九州でシンナーを売ってきたヤンキーも。

アリエルのボールペンをヤンキーにあげていた美穂ちゃんも。

僕の童貞を奪ってサーファーの男にすぐ乗り換えた亜里沙も

怒り、怒りだった。真っ赤な怒り。

僕はもう何も考えられなかった。大学のこともこれからの未来のことも。僕の中にあるのはただ一つ。ただ一つの思い。

許せない。

次回更新は5月21日(木)、21時の予定です。

 

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ひっくり返った輩と赤く擦りむいた拳。「やっと本物になったぞ」僕はポツリとそう呟いた。俺はもう永遠に走れるんだ。

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