まえがき

令和改元時(2019年)の宰相で、惜しくも2022年(令和4年)7月に急逝した安倍晋三内閣総理大臣は、第1次政権に就いた2006年(平成18年)の自著『美しい国へ』の第一章「わたしの原点」において、「その時代に生きた国民の目で歴史を見直す」と題し歴史と伝統、保守の精神について述べている。(傍線・括弧内筆者)

 

『現在と未来にたいしてはもちろん、過去に生きたひとたちに対しても責任をもつ。いいかえれば、百年、千年という、日本の長い歴史のなかで育まれ、紡がれてきた伝統がなぜ守られてきたのかについて、プルーデント(Prudent/慎み深い)な認識をつねにもち続けること、それこそが保守の精神ではないか、と思っている。』

 

また中央公論新社ノンフィクション編集部による『『安倍晋三回顧録』公式副読本安倍元首相が語らなかった本当のこと』第5章「安倍晋三とは」において、慶應義塾大学大学院教授で内閣官房参与として安倍氏の外交政策演説の起草を担当した谷口智彦氏が、「3期目はあったのか」と題して「皇統」の課題に対する安倍氏の思いを推察している。(傍線筆者)

 

デモクラシーやジェンダー平等など、近代の価値尺度ではおよそとらえきれない伝統の重みを、いかに保守保全するかが、皇統を考える際の唯一の枠組みだと思っていたはずです。』