私は介護の経験はありませんでしたが、「介護は家族がやるべし」という天の声が聞こえて在宅での介護を最後までやる決断をしました。とはいっても、もちろん初めての経験ですから思いもよらないようなことがいろいろ起こりましたが、多くの方に支えていただき、インターネットや本で入手できる知見も参考にしながら乗り越えることができました。

私が三百六十五連休の生活であったことも、達成できた大きな要因だったと思います。

第1部 発症してからの日々

第1章 異変と困惑

妻はパーキンソン病を発症する前から慢性的な軽度の腰痛があり、近所の整形外科クリニックでリハビリを受けていました。通院頻度はそれほど多くはなく月に数回程度でしたが、そこで異変が起こりました。

クリニックの診察室のドアを開けようとしたら、力が入らなくて開けることができないという、これまで経験したことのないことに遭遇し、普通でないということは認識しましたが、腰痛が原因だろうと。

しかし、整形外科の先生から何か他の病気が原因ということも考えられるから、設備の整った病院で診てもらった方が良いと言われたそうです。

整形外科の先生は多くの事例を見ていますから、病名の察しはついていたのかもしれません。妻は腰痛が原因と思っていましたから、この時点では深刻にはとらえていませんでしたし、私も妻の話を聞いて腰痛が原因と疑いませんでした。

しかし、整形外科の先生があえて設備の整った病院での診察を勧めてくださったのには意味があり、素人判断で勝手に動くのは良くないと思い、さやま総合クリニックで診察を受けることにしました。

MRIの検査の結果、手足に力が入らないのは脳梗塞によるものではなく、パーキンソン病によるものだということがはっきりして、この時点でパーキンソン病の発症が確かなものになりました。