【前回の記事を読む】85歳になったある日、想像もしたこともない真っ赤な尿が。検査の結果は"前立腺がんの疑いが非常に濃厚"で…

はじめに

妻は18年間闘病生活を続け、私は数十億回拍動を続けた妻の心臓が静かに止まる瞬間の時を共にしました。とても不思議な思いでした。日頃〝いつかは〟とは思ってはいましたが、現実となると何とも言い難い気持ちの揺れがあり、一年経った今も続いています。

後期には毎月の訪問医療をお願いしました。丁度訪問医療に来て下さったお医者さんと少ないながらも言葉を交わし、「いつもと変わりありませんね」と言っていただいた翌日の召天でした。

私どもは埼玉県狭山市に住んでおり結婚五十八年。妻は看護師でした。言葉より先に体を動かすことが好きな性分で、新しいことにもいろいろチャレンジして家族の生活を支えてくれていました。

そんな妻がよりによってパーキンソン病を発症し、思うように体を動かすことができなくなり、辛い日々を過ごすことになってしまって、さぞ悔しかったと思いますが、悔しさを口に出すことはなく静かに耐えていました。とても不憫でした。

『赤毛のアン』が大好きで、遺品の中に『赤毛のアン』に関連のある本がたくさんありました。アンの故郷であるプリンスエドワード島に行く計画を立て始め、パスポートを取得した矢先の発症でした。

通院による薬の投与から始まり、要介護認定を受けてからは、デイサービスとショートステイの介護支援を受けながら、基本は在宅での介護を続け、私の腕の中で天に召されました。八十二歳でした。