確かにこれまで教育資格は民間任せ、監督官庁は都道府県だったのが、2019年に「日本語教育の推進に関する法律」が施行され、文科省が「認定日本語教育機関制度」を所管することになった。

だから今は日本語学校も教師も新しい制度への経過措置が終了する2029年3月末までに文科省から認定、登録を受けるべくある意味必死になっている時期である。確かに確かに、私のやろうとしていることは「カビの生えたようなこと」かもしれない。

しかし何でもそうだが、世の中が動いているのは現場があってのことだ。現場での蓄積があってこそ、世の中は進歩するのだとの思いで初志貫徹、日本語学校の10年を上梓することにした。

さて前置きの前置きが長くなってしまったが、10年を振り返って、日本語教師の仕事がこんなに楽しいとは想像以上だった。なぜこんなに楽しいのだろうかと考えると、すぐに思いつくのはほぼ上司がいないということである。

それなら一般の学校の教師も同じはずだが、学校の教師は勤務評定も気になるだろうし児童、生徒の全部を見るようなところがあるのだろう。

一方、日本語教師は君が代を歌っているかどうか監視されることもないし、暴力的な生徒がいるわけでもない。みんな希望してわざわざ外国から来ているのだから、嫌々という学生はほとんどいない。しかしそれだけでもないような気がして列挙したら、次々と見つかった。

彼らの希望を実現させるお手伝いをするのだからやりがいは感じられるし、今は学生は毎日のように母国の肉親と電話しているから外国の生の声が聞けるし、教科書の内容は分かりやすいから自分も新たな知識が身につくし、それからこれはたまたまという面があるが、学校はどんどん成長するし、といいことづくめである。