G社・重加工業・競争基盤の強化策

1、クレーム削減50%以上

1)先ず現状の整理から

・報告されていないクレーム。
 ex.簡単に解決できたもの
 ex.小さいから記録するに及ばないと考えられたもの
 ex.表沙汰にしたくないものetc.
・クレームの定義があいまいなので記録があったりなかったりする。
 

クレームや商品の品質は顧客との信頼関係の根幹をなす問題です。ですからことの大小にかかわらず全てを把握し記録しておくことが先ず必要です。

小さな事故や幸いにして大事に至らなかった案件でもその背後にどんな大きな問題が隠されているか分かりません。また、例え小さくともコツコツと改善を積み上げていくことが重要です。

2)加工技術以外の原因によると思われるものが60%

「種類別クレーム件数」のグラフを更に原因系で類別すると次のようになります。

加工技術に関するもの
・曲げ不良 22件 39%
・溶接不良  1件 2%


取り扱いに関するもの
・キズ、サビ 20件 36%

事務的間違いに関するもの
・14件 25%

ここで注目すべき点は、「取り扱いに関するもの」と「事務的間違いに関するもの」、つまり加工技術以外の原因によると考えられるクレームが約60%、実に半数以上を占めていることです。これは管理技術の問題でした。

3)キズ対策

キズの検討を進めると、そもそも取引先から支給材料を受け入れた時点でキズがあるものがあることが分かりました。又、その他のキズで主なものはクランプ(万力)で材料を掴むときに生じるものでした。

そしてこれは材料が重量物であるために当面は避けられないものだということでした。そしてそれぞれ次の対策が採られました。

①受け入れ時の対策

・支給材料の受け入れ検査を強化し、キズの有無を確認する
・発見された材料のキズについては、営業部が即座に取引先に連絡をして処置を相談する

②クランプによるキズ対策

発生が予め予想される場合は、
・受注時にその旨を確認して事前の了承を得る:営業担当者
・受注票を改善:確認を忘れないように受注票に確認欄を追加する。
・営業部員の教育:「どんな加工がクランプで掴む必要があるか」
ex.溶接についても受注時に溶接のレベル(完全溶接か否か)の確認をすることにした

③加工工程でのキズ対策

・枕木(台木)の使い方を標準化し、写真を現場に掲示する。

4)加工不良対策

「曲げ不良」22件のうち21件が最も難度の高い“ロール工程”で発生していました。そこで原因を調べますと作業者(主に外国人研修生)が前工程の技術を十分習熟しないままロール工程に異動していることが分かりました。

そこで次の対策が採られました。

・十分習熟した後にロール工程に進む
・外国人研修生に「品質保証」の研修を行う