新橋② 2013年

高校を卒業して就職し、18歳からゴルフ売場に配属された私は、お客様からよく可愛がられていた。とりわけご年配の方や母親世代の経営者の方々に、指名されて接客を担当することが多かった。

今思うと、仕事的にダメだったんだろうが、ある食品会社の社長には、接客する度に商品券を頂き、昼飯や夕飯に有り難く使用させて頂いたり、赤坂の地主だというお爺ちゃんは、私がお酒好きだということを伝えると、毎度来店する度に、珍しい焼酎をプレゼントしてくれていた。

その他沢山のお得意様の中でも、マツナガさんという撮影関連の会社の社長は、私が20前から可愛がってもらっている古参のお得意様である。

マツナガさんは、いかにもゴルフ焼けと思わせる色黒の肌に、ウェーブがかかったシルバーの短めの髪、ド●え●んのような丸っとした体型に、口髭でダンディーな雰囲気を醸し出しながら、愛くるしさも兼ね合わせていた。

マツナガさんは、ゴルフボールや小物などを買いに頻繁に来店し、 月に二度は顔合わせることもあった。 そんなマツナガさんのことを、私は好きであったし、私も小旅行する度にマツナガさんに、お土産を買ってプレゼントしていた。

左目上部を縫って以来、今後仕事をどうするか悩んでいた。

ちょうど姉の結婚式の翌週、2ヶ月ぶりだろうか。久しぶりにマツナガさんから電話があり店に顔を出すという連絡だった。

もちろん、マツナガさんにも病気のことを打ち明けてはいたが、最近はなかなか会うタイミングがなく、久しぶりの再会となった。

夕方、店舗はサラリーマン街の新橋にあるため、平日18時以降に決まって忙しくなる。

18時から19時半がコアタイムとなっていて、その時間は途切れなく接客をしている。

マツナガさんは、その時間帯は忙しくなるということを熟知してくれているのであろうか、

毎回時間をずらして来店してくれる。

その日も夕方の17時頃にフラッと現れた。

次回更新は3月7日(土)、14時の予定です。

 

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