【前回の記事を読む】幼い頃はホラー映画が苦手だった私が18歳で英語もできないまま渡米し“闇の怪物”を形にする職人になった

第一章 特殊造形アーティスト・吉沢コーダイ

特殊効果の現場から見るハリウッド映画の裏側

製作側のワーナー・ブラザース・ピクチャーズから粘土造形の出来具合にOKサインが出されると顔や胸部、腕など、複数のパーツに分けて制作されます。そして特殊メイクとして使用される多くのピースが作られます。

これらの「アプライアンス」と呼ばれる、非常に柔らかいゴムのようなパーツは、特殊メイクアップ・アーティストたちによって撮影現場で役者に接着、塗装されます。現場でアプライアンスを役者に装着する作業には2人がかりで挑んでも3~4時間ほどかかります。そうしてやっと映画の撮影が行われるのです。

モンスターのデザインから始まり、役者にピースを装着するまでのこのプロセスには多くの専門的なアーティストが関わり、一人だけでは成し遂げられない複雑な作業です。私はそのチームの一員として、この映画が全米で約104億円、全世界で約324億円を稼ぎ出すのに貢献しました。

マルサスの腕と手のアプライアンスの粘土彫刻。顔や他のパーツを含めると全部で13ピースにもなる(提供:Fractured FX)