「城野さんがお住まいのような物件は、これからやってくる高齢化社会において、ますます増えていくと思われますし」

事故物件のことを言いたいのだと、すぐにぴんときた。

「こういった物件は、借り手がなかなかつかないということもありますし、たとえ借り手が見つかったとしても、定着率はあまりよくないんですよ。だから、当社としても、もっとアピールしたいと思いまして。ぜひ、インタビューを受けていただけませんか?」

インタビューを受けるなんてまっぴらだった。用がありますので、と去ろうとすると、

「なんとかお願いできませんか。当社の規定により謝礼もお支払いいたします。インタビューがだめなら、名前を出さないアンケート回答方式でもかまいません」

謝礼という言葉に、足の動きは反射的に止まった。

「その、インタビューじゃなくて、匿名のアンケートでもいいんであれば」

「勿論です。アンケートに基づいて、PR動画を作成しますので。ぜひともお願いします」

それなら、と承諾すると、二日後にはポストにアンケートが放り込まれていた。アンケートは二〇問。時間のかかる記述式だ。

三、あなたは、ドリーム物件の元凶となったその部屋を、どのように活用されていますか。

元凶、というデリカシーのない言葉に、三問目にして回答をやめようかと思ったけれど、アンケートの最初に「アンケート回答後、一か月以内に謝礼五千円を振り込ませていただきます。物件の写真があれば謝礼を千円プラスします」という一文が書かれているのを読んでいたので、何とか筆記具を放り投げずにいた。