私には世界ヘビー級チャンピオン、モハメッド・アリの有名なボクシングスタイル「蝶のように舞い、蜂のように刺す」そう見えた。

〝若いのにあんなに上手でスピードのあるボクシング。新山選手ってかっこいい!〟

私はボクシングの本も読みあさり、この頃には一丁前のボクシング通になっていて、ただガンガンと前に出るファイターよりも、頭の良いアウトボクサーが好きだった。私は新山選手の綺麗なボクシングに魅了され彼のファンになった。このとき、私はまだ十六歳だった。

新山好次(こうじ)選手

「サワ、新山選手に会いたい。ジムに練習を見に行きたいよ」

学校の昼休み、親友の三沢優子に瞳をウルウルさせてお願いをした。彼女は子供にするように私の頭を撫でながら

「わかったよ。新山選手の練習を見に行こう。同じジムには世界チャンピオンの堀内章二選手も所属しているよね。堀内選手にも会えるかな?」

サワは、お兄さんがボクシング好きでその影響を受け、他の女子高校生よりボクシングに詳しい。そんな彼女はバレーボール好きで、バレーボール男子日本代表を応援していた。

私とサワは、代表選手がトレーニングする川崎体育館まで、よく練習を見に行った。だから、サワは気持ち良く私に付き合ってくれる。

私は中学では卓球部に入っていたが、高校では美術部。運動部と比べたら時間に余裕があり、私たちはその時間を使って計画を実行していた。

 

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