そこから私は、ボクシングにのめり込み世界タイトルマッチはもちろん、東洋太平洋タイトルマッチ、日本タイトルマッチ、新人王戦などテレビ中継されるあらゆるボクシングの試合を観戦した。

テレビで放送される〝ダイヤモンドグローブ〟や〝エキサイトマッチ〟は、私の一番のお気に入り番組になった。このテレビ放送は、深夜〇時前に放送されるものもあるので、高校受験のときには隠れて見ていた。

「見るのは希望高に合格してから!」

「はあい!」

母が怒るので返事だけはしておいた。

こんなミーハーな生活を高校生になっても続けていた。幸い希望高校には入学できていたが。

そんな私に運命の出会いがやってきた。一九七三年度の新人王を決める試合録画がテレビで放送されたのだ。そのバンタム級の決勝戦。東日本新人王、新山裕(ゆう)(寺門ボクシングジム)対西日本新人王、岩井拓也(三崎ボクシングジム)。結果は六R(ラウンド)判定で寺門ジムの新山裕選手が、全日本新人王のタイトルを獲得した。

ボクサーにもいろいろタイプがあって、接近戦を得意としガンガンと前に出る「ファイター」、フットワークを使いながらヒットアンドアウェーで戦う「アウトボクサー」、どちらもできる「ボクサーファイター」など、選手ごとに得意なファイトスタイルがある。

新山選手は、クリンチの少ない綺麗なアウトボクシングをする選手だった。打っては離れ打たせずスピードのあるフットワークとテクニックを使い、着々とポイントを重ねていく。ガンガンと攻撃していくファイターと比べ派手さはないが、頭脳とテクニックを使った隙のないボクシングをしていた。