それらの問いには答えはまだ出せないか、一つの答えには絞り込めないか、そもそも正解はないこともあります。仮説は当然間違っていることも多いです。しかしそのような試みの繰り返しの中から、いつか必ず正しいものも出てきます。それを検証するのは科学の役割です。
そうした哲学と科学とのキャッチボールの繰り返しによって人類の知識は前進してきました。AIがクローズアップされている今は、哲学と科学との連携プレーの新たな段階に差し掛かっているのではないかと考えています。
この連携プレーが実は、人間とAIとの関係を考えることの延長として、人間とAIの両方と切っても切れない関係にある第三の存在に私たちの目を向けさせます。第三の存在とは情報です。
私たち人間が産む情報は近年爆発的に増加しています。それこそコントロールが効かない勢いです。それを全て必要に応じて保存、管理、処理し、また適切に通信すること、そしていわば世界大の情報ガバナンスを首尾よく持続していくことは、AIをフルに活用したとしても容易ではない状況になってきています。
具体的には第4章で取り上げますが、その意味は、私たちが従来の常識で捉えがちなように、単に情報の量と重要性が増しているということにはとどまりません。最近クローズアップされている、偽情報の拡散がAIはじめ新メディアの普及で深刻化している問題は確かに重大で、現代社会が対処を迫られる喫緊の課題になっています。
しかし本書では、より中長期的にはさらに大きな問題が情報という存在の中に潜んでいることにフォーカスします。情報は、人間とAIのあり方と、私たちの世界認識自体の修正を迫る存在になってきています。
比喩的な言い方をしますと、情報は行く行く、旧約聖書の創世記で語られている大洪水のように、大海となって地球を飲み込むほどに氾濫し、人間の存在を脅かすようになる恐れがあるのです。
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