原色無果汁のサワー類、偽物のチーズで作られたピザに似せたもの……智子には耐えられない。

「でもさ、生活考えたら、我慢も必要だしね、理想だけじゃ生きられないよ」

ミナが一瞬だけ智子と目を合わせたが、すぐに避けて両サイドに座るサキとレイナに声をかけた。

「そろそろ帰ろか」

サキとレイナはミナに同意した。

「女子3人先に帰るね。みんなお疲れ様でした」

男子たちが引き止めたが、女子はみんな帰っていった。

智子はミナが帰ることで、少し安心した。

人数が減ったことで、食べ残しの料理がテーブル上に多く残っていた。フードロスを考えると申し訳ないと思うが、智子が手をつける気がしない料理ばかりが残っていた。

「そろそろ帰ろ」智子が孝太に声をかけたが、タケシが孝太を呼びとめた。

「えー、孝太帰るのかよ。まだ飲みたりないだろ、2次会に行くぞ」

「ダメよ、帰ろ」

「智子さんも行こうよ」

「私もうお腹いっぱいだし、酔ってるから」

「じゃ智子さ、先に帰っていいから。俺はタケシたちともう少し飲んで帰るから」

孝太がこんなに飲めたのか―何かが違うと思いながらも、智子は早く飛行船に戻ってベッドに入りたかった。

 

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