「失礼しま~す。やっぱり掘りごたつがあるっていいよね~。毛布を重ねると冬はおもわず寝そうになるかも」

「飲み物はコーヒーがいい? それともお茶?」

「私はコーヒー。ブラックで」

「翔太くんは?」

「ミルクだけつけてもらっていいですか」

「分かった。まあ、TVでも見てゆっくりして。その代わりチャンネルは二局しか映らないから」

「は~い」と言いながら彼女はTVを見ず、部屋の回りにあるものを観察し始めた。

「コーヒーお待たせ。熱いから気をつけて」

皆でコーヒーを啜る。

「なんか落ち着く」

「だろ? この一杯があるから、こんな田舎でも快適に感じるんだよ」

「分かるような気がするその気持ち。私も都会でなく、ゆっくりとした場所がいいなあ。翔ちゃんはどう思う?」

「今日来たばかりではなんとも。少なくとも僕ら若者には何かと不便かもね。スマホでネットやゲームをするのにも環境が悪そうだし」

「あまりネット社会に依存するのもどうかと思うよ。オジさんは」

「私も。今の世の中、情報が飛び交い過ぎ。ついて行けない。翔ちゃんに教わってなんとかついていってる感じ。今の若い子たちスマホがあればなんとかなるって時代だもんね。ウチらの時は何を調べるのにも重たい辞書とか買わされてたよね」

「そうだよね。でも、あんな分厚くて高いもの必要だったのかなあって、今は思う」

「ホント」

「ところで、お昼どうする? ちょっと車で行くと、お食事処があるんだけど」

「そこでいいよ。翔ちゃんもいいでしょ?」

「お任せします」

「じゃあ、もう少しおしゃべりを楽しんでから行くとするか」

それから一時間、俺の田舎での苦労話や彼女と翔太くんの今後のことなど、たくさん話をした。

「へえ~。想像していた以上に苦労してるんだねえ。野菜づくりも大変そう。スーパーやコンビニも近くにないし、役場や税務署も遠いし。何かと不便ね。田舎暮らしを甘く見てはいけないってことね」

「そういうこと。二人のことだっていろいろと考えなければならないし。だからじっくり考えよう」

「分かった」

「そろそろメシ食いに行くか。その前に俺の畑を案内するから」

次回更新は12月16日(火)、22時の予定です。

 

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