あっという間に楽しい時間が過ぎ、チーママがやって来て、

「そろそろお時間になりますが」と聞いてきたので、

「もう少しでお愛想します」と強くんが答えた。

「では、お飲み物のほうがラストオーダーとなりますので、よろしくお願いします」

「皆、好きなもの頼んでいいよ」と強くんが言ったので、俺はウィスキーの水割りを頼んだ。水割りが来たタイミングで俺がラストに入れたDEENの『このまま君だけを奪い去りたい』が流れてきた。マイクを握り締め熱唱した。曲が終わると皆から拍手喝采を浴び、

「懐かしい~」

「良いよねえ、特にサビの部分が」

「歌い回しに味があったよお」と言われ、思わず赤面した。無論、あの娘も自分のことのように喜んで、笑顔を綻ばせながら「うん、うん」と頷いてくれた。

二次会が終わり皆で外に出た。

「今日は楽しかったねえ」

「しばらくぶりだったけど、そう感じなかった」

「お前さっぱり変わってないなあ」などと店先で盛り上がった。

「さあ、帰る人は気をつけて帰る。この後も行きたい人は、居酒屋を探し飲みに行くもよし。以上。解散!」

俺は参加せずホテルまで歩いた。とにかく懐かしかった。好きだった娘とも再会できたし、全てがスッキリした。きれいな街並みをゆっくりと歩いた。

(便りがないのは良い知らせ)と言うが、便りをもらって正解だった。

ホテルに着きチェックインを済ませた後、部屋に入り上着を脱ぎ、ベッドに横になり眠りに就いた。知らないうちにうとうとと寝てしまい、それから三時間が経ち、一件の着信が入っていることに気づいた。

(見覚えのない番号。いったい誰だろう?)と思いつつも気になり電話を掛けてみた……。

次回更新は12月13日(土)、22時の予定です。

 

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