ミノスの前に出て、何もかも白状したとき、罪の数々に詳しいミノスは

その者が地獄の何処に堕ちるのが相応しいか、見極めて、その谷を表す数だけ、身の回りに尻尾を巻きつけるのだ

彼の前には大勢いて一人ずつ裁かれていく

罪を自白し刑を聞いて

堕とされていく

「おいお前、責められにきたな、この人間が!」

ミノスは私を見て、そう言った

そして私に向かって歌うように、

「どうやって中に入る気だ! 危ないぜ、危ないぜ、生身の体じゃ危ないぜ」

先生が唐突に踊りながらミノスに言う、

 「尻尾を巻きつけ“ミノハツタン(※13)”! この男が行くのは【神】の定めだ、お前なんぞに負けるもんか! 尻尾を巻きつけミノハツタン!」

突然のラップバトルを終え、そこを通り過ぎると、痛ましい声がウェルギリウスとダンテの耳に聞こえてきた

大勢の喚き声が聞こえる場所に、二人が到着したのだここでは一切の光は黙し

その叫びは、荒海の轟音に似ていた地獄の炎風は小止みなく

亡霊の群れを無理矢理に駆り立て、小突き、揺さぶり、痛めつける

亡霊の群れは廃墟の前にさしかかると、叫び、泣き、喚き、 神の力を呪い、罵る

こうした責苦に遭うのは、欲望に負け、肉欲の罪を犯した者の堕ちゆく運命だと

寒い冬コウノトリは羽ばたき、空一面に群がって飛んでいくが、丁度同じように罪ある亡霊の群れが、風の間に間に、上下左右に、吹き回されている

希望も慰めもない、休息も減刑も期待できない鶴がバラードを歌いつつ、空に列をなして飛ぶように、炎風に運ばれた亡霊が、苦悩の喚きを洩らしつつ近づいてきた