子供がサンタさんからの袋に入っているプレゼントを取り出す時のように、興味しんしんに、何が入っているのだろうと袋をのぞき込みました。まずは写真立てを取り出し、「素敵な写真立てね。曾孫の写真を入れてね」。次に木工細工のペン入れを取り出して「これはよく削られていてさすがに鹿沼の職人ね」。

[写真1]母校の記念品

次に七宝の十二角形の飾りものを取り出すと、一瞬驚いた感じで、興奮気味に「これは私が制服で学校に行くとき腰のベルトの正面につけていた学校の紋章。何て久しぶりに見るのかしら。あー、懐かしい。武美ちゃん大切にとっといて」。

学校の写真を見ては「随分立派で大きな校舎になったのね」。その後も次々に資料などを取り出しては目を通していました。学校紙に母親の寄付した1万円が名前とともに載っていると「うん、うん、」と満足げな顔でうなずき、「武美ちゃん、ちゃんと寄付金送ってくれたのね。ありがとう」と言いました。

引き続いて、私が、式典の様子、学校の様子、先生や生徒の様子、校舎、グラウンドなど詳しく話すと、ずっと喜んで聞いていました。最後に私が「豪華なお弁当もあったよ」と言うと、「どこにあるの?」と袋の中を改めてのぞいたので、私が「電車の中で食べちゃった」と言うと、「なんだ」とがっかりした顔の一言でした。

すべての話が終わってかなり疲れましたが、私は、「式典に行ってよかったなー。母親がこんなに興奮気味に喜ぶなんて本当に嬉しい。鹿沼高校の皆さまありがとう」との気持ちでした。母親の認知症がぶっ飛んでいった気がしました。