地域では、仲間たちだけで完結する小イベントが多いが、それとは一線を画した企てである。

こうして7歳から83歳まで世代を超えて、地域のさまざまな場所から人が集まり、二つの違った集団が生まれる。お互いが支えながら当事者として時間を過ごすには広いホールが適している。

8月と3月の2回、毎年10日間以上ホールを拠点として続けるには、ホールの指定管理者との協働がなければ不可能である。

協働するには、企ての公益性と実践する集団の説明が不可欠である。5年前の2020年、企画の正体を「樹の循環システム」になぞらえて書き始める。

「コーディネーション ファシリテーション インクルーシブ」といったことばは、都会での育児法なのでスルーする。

アイデアをどのように育てていくのか、集団をどのように形成していくのか、指定管理者との協働をどのように行っていくのか、NPO法人の存在意味とはなんであるのか……、一つひとつのことを考え整理していった。

そこから「地域で中規模な企てを継続するのに要する作業や思考」が見える形で蓄積されていった。

「企画」と「企て」の明確な違い(あくまで仮説だが)に気づいたのは、最終的な書き直しに入ってからだった。

「企画」は動機から始まって手段まで繋がっている。一方で、樹は統一された体系(システム)によって、種から始まって枝葉まで全体が繋がり自らを成り立たせている。

そこで「企画」を樹になぞらえると7つの要素が過不足なく一致するのに驚く。その先に成る実は集団である。

企画に対して「企て」は個々の木を指す。自然界には桃の木、栗の木、葡萄の木が存在する。

同じ「樹」という統一されたシステムに従って成長を始めるが、「種」や「芽」の中に追加された要素の違いによって、幹の姿や枝ぶりが違っていて、それぞれ違った実をつける。

成る実は催し(作品)である。

 

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