【前回の記事を読む】交際2年でやっと “ママ” に私とのことを報告した彼。だが「あなたのお嫁さんは母さんがちゃんと見つけますから」と言われたらしく…
のどぐろの骨
健吾は先日のママとの一件があったのでしばらく冷却期間を置いて、美代子と食事の約束をした。銀座七丁目にある魚専門の料理屋で個室仕立てになっているのが気に入ったので予約を入れていた。夕方七時の予約時間に直接お店で会うことにした。
美代子は、いつもと変わらない笑顔で七時を少し過ぎた頃に入ってきた。
「済みません待ちました?」
と声を掛けて席に着いた。
「お店の場所はすぐに分かった?」
「はい、事前にインターネットで調べて来たから、並木通りの新橋駅寄りだったから新橋から歩いてきました。素敵なお店ね、初めてですか?」
「僕も初めて、ゆっくり出来る個室の席がいいと思ってインターネットで検索した」
店員さんがメニューを持ってきたので、ページをめくると〝のどぐろ〞を専門に扱っているらしくおススメとして〝のどぐろ〞の煮魚を先ずオーダーして後はお店の本日の旬の魚のお刺身や野菜の煮物、吸い物を店員さんと相談しながらとりあえず注文した。
健吾は、母親とのいざこざの件があったので、初めは世間話で和やかな雰囲気を作ろうとした。最初に注文した〝のどぐろ〞の煮つけがテーブルに運ばれてきた。姿煮だからぱっと見で二五センチ位はあった。
美代子の見ている前で箸を右手に持ちながら躊躇していた。